八朔と甘夏の違い
柑橘類の中には形や色が似たものが多いので、ひと目で品種を判別できない場合が多々あるでしょう。風味や食感となれば、外見だけでは判断することがなおさら難しくなります。今回は、柑橘類の中から八朔と甘夏の違いをまとめてみましょう。
八朔と甘夏の生産地は?
八朔と甘夏は温暖な気候でよく育つため、生産地はどちらも西日本に広く分布しています。平成22年の収穫量をシェア別で見ると、八朔は和歌山県が1位で、全国に流通している八朔の70%近くを生産しています。なお、和歌山県の後には、広島県と愛媛県がそれぞれ2位と3位を占めています。
一方、甘夏を平成25年の収穫量でランク分けすると、熊本県が1位で、全国に占める割合はおよそ30%。次いで、鹿児島県が27%、愛媛県が17%といったシェア率です。
収穫の時期と食べ頃は?
八朔は12月の中旬から3月にかけて収穫されますが、収穫の最盛期は1月から2月です。収穫された八朔は、完熟するまで1か月から2か月ほど貯蔵庫で寝かされます。よって、2月から3月が八朔の食べ頃ということになります。
八朔と同じように、甘夏の収穫も1月から2月にピークを迎えます。やはり、収穫後は完熟を促すために貯蔵庫で保管されます。とはいえ、甘夏の食べ頃は3月の下旬から5月にかけてなので、八朔よりも旬の時期が遅いと言えるでしょう。
八朔と甘夏の風味の違いは?
「八朔よりも甘夏の方が酸っぱい」という声をたびたび耳にします。こうした風味の違いは何に原因があるのでしょう?
個体によって数値にばらつきはありますが、糖度の点で比べると、八朔は11〜13度、甘夏は11〜12です。よって、甘さの点では、八朔と甘夏では大体似通っていることになります。
八朔と甘夏の最大の違いは、酸味と果汁の量にあります。八朔はサクサクした食感が特徴で、果汁は少なめです。一方、甘夏のほうは果汁が比較的多く含まれているため、八朔よりもやわらかい食感になっています。
一方、1グラム当たりの酸度の比率は、八朔が0.2020%、甘夏が0.318%です。わずかな差ですが、この差が甘夏の方を酸っぱい風味にしている要因と考えていいでしょう。、こうした声は酸度の違いによって説明がつくのです。
八朔と甘夏は、どちらも甘酸っぱさの中に苦みがあるフルーツ。酸味を味わいたい時には甘夏、サクサク感を楽しみたい時には八朔と、好みに応じて選ぶようにしましょう。